インビザライン特有の矯正治療に関わるトラブル〜歯髄充血&歯肉退縮

こんにちは、神保町タワー歯科・矯正歯科の越智です。

今回は矯正治療のリスクについて。

なかなかリスク先行で矯正治療についてお話ししすると矯正治療のイメージが悪くなるかもしれませんが、リスクはあります。

ワイヤー矯正に比べて、メリットも多く、デメリットも少ないマウスピース矯正ですが、実はマウスピース特有の注意事項もあります。

 

マウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正の方が、ワイヤーより

・目立たない

・虫歯になりにくい

・歯根吸収が起きにくい

・痛みが少ない

・治療期間が短い

 

と、いいことが多いのですが、私の経験上以下の2点については、ワイヤーよりリスクが高いと思っております。

 

歯髄充血と歯肉退縮

 

これらは最も起きてほしくない偶発症ですが、

歯髄充血も、歯肉退縮も200人に1人くらいの割合で発現します。

 

これらはマウスピース特有の症状です。

しかも発現する部位はほぼ決まっていて、歯髄充血は、上の前歯、歯肉退縮は下の前歯か犬歯です。

 

犬歯は歯肉がもともと薄いので事前にある程度リスクを予測することができるのですが、上の前歯の歯髄充血、下の前歯の歯肉退縮は予測が難しいとされていました。

 

しかし、当院の1000人を越える患者さまのデータを分析すると、ひとつの原因にたどりつきました。

 

 

アライナー(マウスピース)の応力はアライナーの真ん中に集中します。

アライナーを広げてみたり、つまんでみたり、ねじったり、すると前歯の部分(上の図でいう赤い矢印の部分)を中心に変形していることが分かると思います。

 

アライナーは、長く使用していると、全体のフィッティングは少しずつ悪くなります。

このフィットの悪い状態は、目で見て明らかにわかる場合と、一見みても分からないけど、フィットしていない場合もあります。

 

そもそも、その微妙なアライナーと歯のズレを利用して歯を動かすのですが、計画を設計した歯科医師の意図しないズレが生じ続けるとトラブルが発生します。

 

 

意図しないアライナーとズレが発生する場合

①患者さまがアライナーの使用時間を守ってくれていない場合。

②難易度の高い動きが組み込まれている場合

 

この2つに絞れると思います。

①に関しては患者さまにリスクを説明して、きちんと使用して頂けるように協力依頼を再度行います。

生活スタイルの問題でどうしても難しければ、使用時間を短くして、交換日数を延ばしたりすることもあります。

場合によってはワイヤーに変更する場合もあります。

 

②に関しては、一度の計画で100%の動きを達成させるのではなく、何回かに分けて難易度の高い歯を動かすことでリスクを分散することが出来ると思います。

 

つまり、①も②も明らかにフィットが悪い!という場合でなくても、

 

前歯がいたむ、しみる。

歯茎が下がってきた。

 

という症状があれば、早め早めの対応が重要となります。

処置としては、症状がある歯に負荷が掛からないようアライナーを調整して、新しくマウスピースを発注します。

 

偶発症があった場合の対応

 

長々書かせて頂きましたが、重要なことは、アライナーのフィットが悪い!

ということではなく、前歯がいたい、しみる、歯茎が下がったという症状に対する対応が早いことがです!

何も策をとらずに様子をみましょうが一番危険です。

痛いのをずっと我慢されることも危険です。

 

フィットが悪いことすべてが悪い訳でなく、フィットが悪くても、他の歯に悪影響を起こさない場合は、そのままアライナーを進めていくこともよくあります。

理由は、フィット悪い歯を動かすことよりも重要な動きがある場合もあるからです。

フィットが悪かった歯も追加アライナーを作製すると時に修正致しますのでご安心ください。

 

このようなブログをだと、治療中の方の不安を助長してしまうことになるかも知れませんが、きちんと使用時間を守り、不安なことがあれば、我慢せず早め早めに相談して頂ければ、予防できるリスクだと思っております。

なにより、発現率の低いリスクより、多大なメリットは歯列矯正にはあると思います。

 

歯は一生の財産です。歯を大切にしましょう。

 

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